日本ソバの品質検査場設置へ/上野庁舎に
生産振興に弾み/キビと輪作で地下水保全
日本ソバの品質検査場が今年度中に官民連携で市役所上野庁舎に設置される見通しとなった。国の所得補償金交付に必要な施設で、今後の生産振興へ明るい材料となりそうだ。サトウキビとの輪作が可能な日本ソバ栽培は畑の有効利用や農家の所得向上、地下水保全など「一石三鳥」の効果を生み出すと注目を集めている。
検査場の設置は、品質検査が14年度から義務化されるため必要に迫られた。同所では「1等」「2等」「3等」「規格外」のランク付けを行い、等級ごとに交付金単価が決まる。
新年度から始まる検査は当面、沖縄本島の検査機関が検査員を宮古島に派遣して実施。来年夏までには宮古の農事法人が検査員2人を育成して行う段取りだ。
宮古における日本ソバ栽培は、前里和洋教諭が指導する宮古総実高校の環境班が先駆けとなった。経済栽培は日本ソバの料理を提供する「食菜 かま田」を営む鎌田賢さんが4年前に開始。鎌田さん今年農事組合法人「宮古島日本蕎麦生産組合」を設立し現在、栽培面積約10㌶、年間生産量は6㌧に達した。3回転作の場合、10㌃当たり15万円の収入は可能という。
鎌田さんは検査場でのランク付けは、品質向上を促すことにもつながると強調。将来は宮古の品質レベルを本土並みに持っていきたい意欲を見せた。
農事法人の現在の出荷先は「かま田」と沖縄本島の2店舗など。今後の課題に品質向上を示した上で、「日本ソバは2月には、沖縄だけでしか取れない。宮古島の有利性を売りに、全国に展開したい」と今後を見据えた。
ただ現在はソバの保存や製粉をする施設が宮古になく、大量生産販売には対応できていない状況。鎌田さんは同課題をクリアすべく工場建設を計画中で、「工場ができれば、農家が生産したソバの受け入れはいくらでも可能」と話した。