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企画・連載私見公論
2014年2月8日(土)8:50

観光入域客数50万人突破に向けて(1)/下地 信男

私見公論80


 本市への観光入域客数は平成24年度において41万3654人と史上最高を記録した。40万人超えは平成22年度に続き2度目である。東日本大震災の影響を受けた平成23年度こそ減少に転じたものの、ここ数年は増加傾向を示している。41万人超を記録したことについて宮古島観光協会ではその主な要因を次のように分析している。


 5月、6月のミュージックイベントの成功が功を奏し、夏場のヤングファミリー層が9月まで続いた。下期の10月から2月は各種スポーツコンベンションや修学旅行、NHK連続テレビ小説「純と愛」放送による認知度の高まりに伴い、各種団体ツアーが好調に動いた。2月には韓国ソウルから直行チャーター便が初めて就航するとともに、3月にはミュージックイベントMTVの開催や日本弦楽指導者協会全国大会などが開催され、新たな誘客につながった、としている。本市の特徴である各種イベントを核とした誘客に加え、マスメディアへの露出効果として本市の認知度が高まったことが観光入域客数を伸ばした要因である。

 ところで、市観光振興基本計画における観光入域客数の目標値は50万人である。この目標値からすると41万人という数値は過去最高といえどもまだまだ「道半ば」と言わざるを得ない。目標の50万人に向けて、観光地としての魅力をどう高めていくか、宮古島へ足を向けさせるための誘客活動をどう展開するか、観光客の満足度を高める受入態勢をどう構築するか…、課題は山積しているが、市民の理解と協力なくして目標達成は困難と考えている。

 このような数字の話になると「多ければ良いというものではない。来島者が多いと島の環境への負荷が大きいのでは」という声が聞こえてくる。一方、島の経済振興のために一人でも多くの観光客を招き入れたいというのが観光関係者の思いである。もちろん、島の豊かな自然は宮古島の貴重な観光資源であり、観光産業を持続的に発展させるためにはこれらに負荷のかかる観光事業の展開は避けなければならない。要は保全と活用のバランスであり、このことには常に最大限の配慮を講じなければならない。

 本市のリーディング産業は観光産業である。本市の各種統計データがこのことを如実に物語っている。平成24年度に実施した観光客満足度調査・経済効果調査における観光消費総額は189億円で、生産波及効果の総額は350億円と試算されている。島内で消費する観光客一人あたりの金額は平均4・5万円と試算されているので観光入域客数を掛け合わせると前記の金額になるわけだ。島を訪れる観光客が多ければ多いほど島内での消費が増え、島の経済が潤うことになる。


 一方、市農政課が調査した農業生産額(平成21年度)は145億円である。サトウキビ、葉たばこ、野菜、肉用牛、果実の5品目で全体の98%を占めるが、観光消費の及ぼす生産波及効果額は、農家が額に汗して生産した金額の2・4倍に相当する規模である。これらの数字を見るだけでも、観光産業が本市の経済に大きく寄与していることが理解できる。このことから本市の経済を持続的に発展させるためにはリーディング産業である観光産業を成長させていかなければならない。

 観光産業と一言で言ってもその裾野は広く、観光産業は総合産業と言われるゆえんである。例えば、観光客が宿泊するホテルの営みを見ても、あらゆる分野の業種が密接に関わっている。ベットのシーツはクリーニング屋さんのサービス業、地元野菜や肉などを食材に利用すれば農業とつながり、タクシーやレンタカーを使えば運輸・通信業との関わりが出てくる。お土産品として人気の高い海ブドウやモズクは漁業という感じである。観光産業はこのように幅広い業種が密接に連携して初めて成り立つものであり、市民生活にも密接に関わり、地域経済の発展や地域活性化に大きく貢献していることを私たちは認識する必要がある。

 下地 信男(しもじ・のぶお) 1959年生まれ。宮古島市下地出身。83年沖縄国際大学卒業後、86年旧下地町役場へ採用。2004年旧下地町役場企画課長。05年宮古5市町村合併により宮古島市下地支所地域振興班長。合併直後、下地地区において「地域づくり協議会」設立を提案。その後、企画政策部企画調整課長、総務部総務課長、伊良部支所長を経て、現在観光商工局長。

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