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インサイドリポート
2014年4月4日(金)8:55

搬入計画に大幅な遅れ/サトウキビ

機械刈り増え新たな課題


過去10年の平均日数と比べて14日間遅れた沖縄製糖宮古工場のサトウキビ搬入=下地上地

過去10年の平均日数と比べて14日間遅れた沖縄製糖宮古工場のサトウキビ搬入=下地上地

 宮古本島内製糖2工場の2013-14年期サトウキビ製糖操業の原料搬入過程で、新たな課題が浮上している。雨天時に稼働を制限される機械刈りの急増が影響して原料不足が度々発生。搬入計画が後ろにずれた。搬入の遅れは収量減や土地の有効利用に影響する。労働力不足を補う機械刈りの推進が、思わぬ形で課題を投げ掛けている。

 ◆搬入日数と影響

 2日夕、沖縄製糖宮古工場はようやく今期収穫分のサトウキビ搬入を終えた。搬入に要した日数は85日。1992年以降最大日数となり、過去10年の平均日数と比べて14日間も後ろにずれた。終了時期が4月に食い込んだのは22年ぶり。
 搬入が4月にずれ込むと、早熟の品種は茎重が軽くなり、反収(10㌃当たりの収量)が一気に落ちて所得減を招く。
 さらに、次期栽培に向けて遅くとも3月内が適切とされる春植えや株出しにも影響。状況によっては植え付け体系を見直す必要があり、これまで推進してきた土地の有効利用に逆行する。
 春植えや株出しは、台風が多い夏場までに一定程度成長していなければ大きな被害を被ってしまう。こういった影響も踏まえると、キビ搬入は3月以内に終えて来期の生産につなげるという考え方が一般的だ。

 ◆搬入遅れの要因

 搬入がずれ込んだ要因は機械刈りの急増。沖縄製糖宮古工場の場合、2010-11年期に機械刈りの比率が30%台に達した。その後は右肩上がりで推移し、11-12年期は42・5%、12-13年期は49・3%、今期の機械刈りは59・4%と前期比で10ポイント以上増えた。
 ハーベスターは雨天時に稼働できないため、製糖工場に搬入する原料は比例して減少する。雨が2~3日続くと工場を稼働させるだけの原料が確保できなくなり、製糖工場は一時的に停止する措置を取らざるを得ない。
 機械刈りが増えた要因は農家の高齢化に伴う労働力不足だが、兼業農家も積極的に機械刈りに移行しているため、比率はさらに高くなることが予想される。製糖工場各社は「機械刈りは80%台になる」と見る。

 ◆課題は集荷体制

 今期の搬入実績を踏まえて沖縄製糖宮古工場の砂川玄悠専務は「より効率的な集荷体制の確立が必要だ」と指摘する。
 その上でハーベスターの増車や原料をストックする体制の構築、品種に応じた出荷体制の確立などを具体例に挙げた。
 ハーベスターは沖糖管内に46台、宮糖管内には30台あるが、「まったく足りない」(両工場)のが現状だ。稼働台数の増加は1日当たりの搬入量に直結するため、課題解消に向けて最も効果的な解決策と言える。
 ただ、ハーベスターの増車には国、県の補助が欠かせないため自助努力では解決に至らない。
 生産者が取り組める対策が品種に応じた収穫体制の確立だ。早熟、晩熟の品種を見極め、晩熟品種の収穫はなるべく後ろにずらす。早熟品種は4月に入ると急速に劣化が進むが、晩熟は逆に上昇する。砂川専務はこれらの特性を踏まえて対応するよう指摘。「植え付けから収穫までの計画性を高めれば搬入の遅れに対応できる」と話した。
 この場合の課題は株出しへの連動。4月に収穫した場合、次期生産に向けて短くなる栽培期間をどう克服するか。株出しで十分な収量と品質を確保できるのかどうか。難しい判断が迫られる。
 天候次第で原料不足に陥り、製糖工場が停止するという課題が浮き彫りとなった今期操業。来期に向けて、生産者、製糖各社、関係団体それぞれの対策が求められる。

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