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人生雑感
2014年9月27日(土)8:55

自立心が強調される現代社会 自立心はどのように育つのか

沖縄国際大学名誉教授 福里盛雄


Ⅰ 現代は、自立心の弱い若者が多すぎる。

 例えば、登校拒否、麻薬類の薬物の常習、何もしないで大切な時間を過ごす若者たち、何の価値もないものにエネルギーを消耗する若者たち。これらの好ましくない行為の大方の原因は、その人に自立心が育っていないからであります。自分で物事の善し悪しを判断し、どの行動をとれば、幸せになれるかという点を考慮して、自分の行動を選択する力がないのか、あるいはそのような訓練を受けていないのが大方の原因だと考えます。自立心が欠如すると、正しい行動の選択が自分ではできず、正しい行動をすることができないのです。

 人の自立心は、その人の生涯を左右し、その人の運命をつくり変える力を発揮する場合もあります。自立心を働かせて、人生の成功者になった人もおり、その反対に自立心の欠如のために、予期せぬ失敗を起こし、人生の失敗者になって不幸な人生を送った人の例の多くを、人類の歴史上に観察することができます。
 自立心が、このように大切であることは、人の一生を大きく左右するからです。その人はいかなる生き方をしたいか、ということは、結論的にはその人の心の持ち方次第ということになるかと思います。
 

Ⅱ 自立心を身につけるためには、どうすればよいのか。自立心の修得訓練はどのようにすべきでしょうか。その主なることの方法のいくつかを説明します。

 第一 自分の生きる使命を自覚すること。
 人は、誰でも人生を生きていく使命が与えられています。その使命実現のために他のいかなる誘惑にも負けてはならない。その自覚があれば、自分の能力と時間を大切にしようという心が強くなります。他の無意味な物事に心を向けるようなことはしません。
 第二 誘惑を避けること。
 私たち人間は、お金や名誉、人生の一時的快楽のための時間の浪費の誘惑には弱いのです。そのようなものは、一時的快楽であり、その結末は人生の破滅となり得ることを深く心の奥底に刻みこんでおかなければなりません。
 蜂に刺されたくなければ、蜂の巣に近づかないのが、賢い選択だとある名人は警告しています。その警告の通り、害になる誘惑は積極的に避けなければなりません。誘惑に負けるような心の弱さを克服する力を身につける必要があります。
 自分の心を制御できない人は、城壁の崩れ落ちた町に住む人に例えることができます。そのような町は、無防備で敵が攻めてくるのが容易です。その町の住人は、心の平安がなく、心が混乱し安心した生活を営むことが不可能です。
 第三 自分は今の心の状態を変革することができると確信すること。
 確かに人はそれぞれの過去の経験を持っています。そして、しようとするとき、過去の自分の経験や能力が、大きく障害になる場合があります。そして、自分の過去に対して低く評価している人は、新しい物事に対して変身した自分の全力で、取り組もうとするときのブレーキとなりかねません。しかし、私たちは過去から学びはしても、過去の二、三度の失敗にとらわれることなく、過去を振り向かないで、前に向かって進む勇気が必要です。自分の人生の使命実現に向かって、一心に前進しなければなりません。
 変わる決心をする者には、チャンスはいくらでも与えられています。今の自立心のない無気力な哀れな自分から一日も早く脱皮し、自分の考え、自分の力で人生を生き、その結果については自分自身で責任を負うという自立的生き方こそ、私たちの幸せな生き方ではないだろうか。

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