少年非行、貧困家庭6割/求められる対策と支援
更生保護委員 津嘉山、山内氏が提言
法務省九州地方更生保護委員会第3部はこのほど、沖縄少年院に在院する少年らを対象に行った実態調査の結果を分析し公表した。同第3部で更生保護委員を務める県出身の津嘉山信行氏と山内優子氏が中心となって調査結果を取りまとめ、その対策と支援策を県議会や各自治体の長などに陳情要請している。調査結果では、沖縄少年院に入院した調査対象者の60・8%の生活程度が「貧困家庭」で全国の2倍以上を占めており、養育の放任など家庭の問題が、そのまま少年非行につながっている実態が浮き彫りとなった。
調査は沖縄少年院に在院する46人を対象に行った。年齢は14~16歳までの少年が56・6%で全体の半数以上を占め、年少少年(14~15歳)が全国の1・5倍となった。「非行名」は窃盗が73・9%で最も多く、全国の2倍以上ある。次いで道交法違反8・7%、傷害6・5%と続く。
「教育程度」は中卒が43・3%、中学在学と高校中退は同率の26・1%。全国では高校中退32・8%が最も多い。家庭に関する調査では「保護者の状況」で実母のみが50%を占めて最も多く、実父母家庭は30・5%であった。
「保護者との関係」では60・8%の少年が敵対反発をしており、次いで無視状態が37%で、この二つで97・8%に達していることから、ほとんどの対象少年は親との関係が悪化しており、少年らの親子関係は「機能不全にある」と実態調査報告では分析している。
全国と比較して最も特徴的な傾向が表れたのは「生活程度」で、沖縄は「貧困家庭」が最も多く60・8%と全国の2倍以上だった。普通は37%で全国の約半数、裕福は2%だった。
実態調査を取りまとめた津嘉山委員は、これら沖縄の少年非行が家庭問題に起因する点を重要視しており、「家庭が貧しい故に、親がネグレクトの状態を作り、その親に対して子どもが敵対反発するという悪循環を作っている実態がくみ取れる。家庭環境に起因する少年問題が全国に比べ特化しているのが沖縄の少年非行の背景にある」と説明し、貧困・放任・ネグレクト家庭への支援策として、スクールソーシャルワーカーを各小・中学校へ配置し、教育と福祉の連携を強化することなどを提言している。