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行雲流水
2014年11月4日(火)8:55

「地域の再生」(行雲流水)

 テンニースによると、社会はゲゼルシャフトとゲマインシャフトに分けられる

▼ゲゼルシャフトは利益社会と訳される。そこでは、各自の利益的関心に基づいて、その人格の一部分をもって結合する社会で、成員間の関係は表面的には親密に見えても、本質的には疎遠である。都会は典型的な例で、リースマンはその状況を『孤独な群衆』に書いた

▼ゲマインシャフトは共同社会と訳される。そこでは成員はお互いに感情的に融合し、全人格をもって結合する社会である。血縁や地域に基づく村落は典型的な例である。近世、共同体の閉鎖的な人間関係のしがらみを避けて多く文人が都会を志向した

▼このゲゼルシャフト的なものとゲマインシャフト的なものが、それぞれの弱点を補い、利点を統合して、「人間的あたたかさを持った、持続可能な機能を備えた社会」の構築ができないものか

▼現在、財政的理由や人口減少をもとに、いくつもの市町村の消滅を必然のものと予測し、農村部を不要なものとする「農村たたみ」論が一部で公然と主張されている。消滅可能性を名指しされた地域では「あきらめ論」も生じている。一方で、それに抗するかのように、1次産業(農業)、2次産業(加工)、3次産業(流通、観光)を結合させた農業第6次産業化等、創意をこらした「地域づくり」も各地で取り組まれている

▼地域には固有の歴史や文化があり、「農業」は日本人の心のふるさとである。すべての地域を守り、豊かに再生させることが、現在日本の最大の課題である。

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