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行雲流水
2014年11月18日(火)8:55

「同期生」(行雲流水)

 同期生というのは、不思議な人間関係で結ばれていると、つくづく思う。何年会わなくても、会うと、いつも会っているような、会えるような、そんな懐かしさ、親しみを感じさせる

▼たぶんそれは、自我に目覚める多感な時期に形成され、深く心理の深層の中に沈潜していて、その後の人生で体験するさまざまなことを包みこみ、無意識のうちに、人と共に生きる懐かしさの原点になっているのだろう

▼エーリッヒ・フロムは人が生きていく上での二つの基本的な存在の仕方-「持つこと」と「在ること」を区別、分析している。現代産業社会では、物を持つことを自己の価値、存在のあかしとすることに慣れている。この関係は物ばかりでなく、人間関係にも及び、主体をも客体をも物に還元する

▼それに対し、「ある」ということでは、何ものにも執着せず、何ものにも拘束されず、原点に返って、共に生きる喜びを確信できる

▼現実の社会では経済力や地位が圧倒的な力を持っており、それにそった価値観で多くの人は生きている。しかし、その価値観も、視点を変えると絶対的なものではないことが分かる。人生いろいろ。極端だが、芥川龍之介は『或阿呆の一生』で、「人生は一行のボードレールに若(し)かず」と芸術至上主義的な価値観を述べている

▼フロムの人生を肯定する価値観では、人は他者との関係において与え、分かち合い、関心を共にする生きた関係になる。そこには「愛」がある。人類愛、博愛、異性愛。そして、「友愛、同期生愛」。

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