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行雲流水
2014年11月22日(土)8:55

「朝日新聞社木村社長辞任」(行雲流水)

 11月14日、朝日新聞社の木村社長が辞任した。ついに来るべきことが来たといった思いである。木村氏は辞任に際してコメントを寄せている

▼コメントの冒頭で「慰安婦報道を検証した特集紙面で誤報を取り消しながら謝罪しなかったこと、池上彰さんのコラムの掲載を一時見合わせたこと、東京電力福島第一原子力発電所事故にかかわる『吉田調書』をめぐる報道などで、社会や読者の信頼を大きく傷つける結果を招きました。改めて深くおわび申し上げます」と謝罪した

▼コメントの文末では「過去の負の歴史に光を当てる報道やジャーナリズムの本質的な役割である調査報道で、誤報や記事取り消しを招いたことは痛恨の極みです」と反省しているが、このコメントに使われた「誤報」なる用語はそのまま受け入れられるものではない

▼非常にあいまいな言葉だからである。慰安婦報道も吉田調書をめぐる報道も誤報では済まされないのではないか。報道に際しては取材という前提があるのは言うまでもない。報道の対象となるものの事実確認が取材だ。その事実確認がなされなかったのではないかと指摘されているのである

▼中央紙とかローカル紙といった新聞社の大小に関係なく新聞である以上相応に社会や読者に多大な影響力を持つものであることを考えると報道する前の取材は対象がなんであれ真摯(しんし)に向き合うべきだ

▼誤報と捏造(ねつぞう)・歪曲(わいきょく)は根本から違う。報道機関が最も疎まれるのは、ないものをあるように伝えることだし、あるものをあるがままに伝えず意図的に変えて伝えることである。捏造と歪曲はキャンペーン報道が陥りやすいものでもあると思われる。

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