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行雲流水
2015年3月3日(火)8:55

「卒業式」(行雲流水)

 3月1日(日)、県立高等学校の卒業式が各高校で行われ、卒業生たちは、家族の見守るなか、恩師や在校生の祝福と激励を受け、希望を胸に新たな世界へ羽ばたいていった

▼高校時代は心身が飛躍的に発達を遂げる時。身体を鍛え、知的能力を高め、自我を確立し、生きる構えの基礎を自覚する。そこには、向上していく自己を確認できる喜びと、変化することの不確かさに伴う不安や悩みがあったに違いない

▼この多感な時代に結ばれた友情は、他者に対する懐かしさの原点として、複雑な社会に懸命に生きている時にも、心の安定を支え力になることだろう

▼卒業式は、卒業生を祝福し、激励する言葉と、卒業生が、これまで無償の愛で育ててくれた親や、親切丁寧に教え導いてくれた教師、それに切磋琢磨(せっさたくま)しあって共に学校生活を充実させた在校生への感謝の言葉に満ちていた。また、映像で紹介される彼らの3年間の学校生活は、笑いあり、涙ありで、汗が飛び散り、歓声があがり、躍動感で輝いていた

▼このような明るい善意に包まれた高校生活を終えて彼らが出て行く世界は、不透明な霧に覆われた不安定な世界である。生活権を含めて人間の尊厳が脅かされかねない社会である。親や教師は不安を抱えながらも、彼らが、さまざまな困難を乗り越えて自己を確立、これまで培ってきた個性を発揮、多様な可能性を開花させてほしいと願う

▼ともあれ、いつの時代でも、未来は若者たちの世界である。人間の尊厳が確立される未来は彼らに託されている。

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