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行雲流水
2015年3月10日(火)8:55

「マッサン」(行雲流水)

 NHKの連続テレビ小説『マッサン』の評判がいい。視聴率も高く、ウイスキーの売り上げが伸び、関連する歌もヒットしているという。ヒーローのマッサンは、不器用で、どこか脇が甘いが、日本でウイスキーを造るという夢に向かって、一途に情熱を燃やす男である

▼ヒロインのエリーは、スコットランドでマッサンと知り合い、結婚して日本に渡る。国際結婚がまだ少なく偏見のあった時代に、いろいろな苦労があるなかで、持ち前の明るさと前向きの姿勢で、マッサンを支え続ける。エリーは時折スコットランドの民謡『広い河の岸辺』を口ずさんでいる。「河は広く渡れない、飛んで行く翼もない。もしも小船があるならば、漕ぎ出そうふたりで」

▼ドラマは、笑いあり、涙ありで、楽しく、時に感動を誘う。シャーロットが演ずるエリーの魅力が周囲の信頼を得ていく。と同時に、取り巻く人々の人間味あふれる個性と絆の深さがエリーの心をとらえる

▼櫻井賢チーフ・プロデューサーは書いている。「日本人としての誇りを持ち、夢に生きることに飢えている今の時代、夢に生きた日本人の原点を描きたい」

▼ドラマは終盤にきて、戦争の不条理、愚かさを描いている。出征する息子との再会を祈って父親(熊虎)は、本心に帰って「オールド・ラング・サイン」を歌う。「蛍の光」の原曲で、友との再会を喜び、昔を懐かしむ内容である

▼厳しい時代を生き抜いた日本人が、守り築いてきたものの大切さと、失ってしまったものの大きさを考えさせる作品である。

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