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行雲流水
2015年9月22日(火)9:01

【行雲流水】「安保体制の危うさ」

 関岡英之著『拒否できない日本』は、さまざまな分野で日本がアメリカの都合のいいような社会に変えられてきた経緯を、アメリカの公文書に即して明快に描いている

▼そのひとつ。日本の風土に適した建築基準法に対して、アメリカの材木業者が参入しやすいようにアメリカ政府の圧力で法改正がなされている。「この法改正がアメリカの材木供給業者のビジネス・チャンスの拡大につながった」とアメリカ側は自画自賛している

▼建築家の資格制度の国際的な統一ルールの作成はアメリカと中国の協力で成立した。アメリカの制度にならって大学5年制を基準としたもので、4年制の日本の大学卒業生は基準に達しないことになる。このことで、アメリカは中国の建築市場で圧倒的な優位を確保した。見返りに中国は、世界貿易機関(WTO)への加盟と北京オリンピックの開催をアメリカの協力で実現した

▼日米の安保体制の強化で中国を封じこめようとすることを、東西冷戦当時の感覚で、非現実的だと述べる寺島実郎(日本総合研究所理事長)の論理が首肯できる

▼冷戦終結後、軍縮が進むと期待されたが、アメリカの軍需産業は再編され、巨大化して、アメリカ経済構造にしっかりと組みこまれている。戦争がないと、不景気になる体制で、とても「正義の戦い」などではないことは世界の紛争の歴史をみれば明らかである

▼そのような国の世界戦略に協力する安保関連法に疑問を禁じえない。辺野古の新基地や宮古のミサイル基地の建設も本質は同じである。

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