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行雲流水
2017年7月25日(火)9:01

【行雲流水】(うみ)

 ♪、『うみ』。「1、海は広いな大きいな/月が昇るし、日が沈む。2、海は大波青い波/揺れてどこまで続くやら。3、海にお舟を浮かばして/行ってみたいなよその国」。広がる海の雄大さに感嘆し、憧れている。この歌は、あるアンケート調査で、21世紀に残したい海の歌の1位に選ばれている

▼九州地区水産高校・校長会が翔南高校で開催されたとき、校長は歓迎のあいさつのなかで、柳田國男の「海上の道」などを紹介、結びにこの『うみ』を歌い、喜ばれた

▼周囲を海に囲まれた沖縄である。そこには海への敬虔(けいけん)なる信仰や思想が生まれた。ニライカナイは海の彼方にある楽土で、そこから神が訪れて豊饒をもたらすと信じられた。厄払いをする島尻のパーントゥも来訪神である

▼近年、身近な海が大きく変貌した。旧漲水港の北側に突き出た「ポー崎」があって、たむろする若者や、デートを楽しむ恋人たちの夢を育んだ。「背伸びして囲んだ水平線を/はるかに超えて/茜の空が包んでいた。佳き人が触れると、波の輪がひたひたと/寄せてくるのであった。星は遠い世界へ誘い/芝露は光に濡れていた」

▼海の豊かさと直接触れられる場所、トゥリバーも埋め立てられた。海岸のごつごつした岩に波が当たってしぶきがあがるとき、海水に酸素が溶ける。コンクリートで固めると海は死んでしまう。必要以上に埋められてしまった久松海岸も、以前は地域住民にとって、海の幸の宝庫であった

▼世の中は便利になった反面、生活空間は平板になり、豊かさを失っている。

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