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行雲流水
2019年3月14日(木)8:55

【行雲流水】(陸自配備)

 千代田の陸自宿舎が間もなく完成する。宮古島への陸上自衛隊配備をめぐっては、「軍事基地は敵の攻撃を招く」「軍事力の真空地帯は敵を吸い寄せる」との相反する二つの意見があった。どちらの見方が的を射ているのだろうか▼戦術論は時代とともに変わる。東西冷戦下では、「抑止力」が重視された。敵の攻撃に対する報復・反撃力を持つことによって敵の攻撃意欲を鈍らせ、戦争を防止するとの考え方だ

▼9・11以降は、非対称戦(政府軍対非政府組織)が主題になった。ニューヨークの世界貿易センタービルは軍事施設ではないが攻撃された。アルカイーダやISなどは非政府組織だが強力だった。予測不能の交通事故や自然災害と同様、対症療法を強いられてきた

▼最近は、サイバー攻撃(コンピューター・ネットワーク上の情報戦)や宇宙空間での攻防などを重視する考え方が台頭してきたようだ

▼だが、これらは類型化された戦術論にすぎないのかもしれない。実際は国力の大小、政治的意図あるいは地理的環境の違いによって戦術の態様はさまざまだ。たとえば中国首脳は「海洋覇権は中国の核心的利益である」として、南シナ海の岩礁群を強引に実効支配しつつある。攻勢的な戦略・戦術思想を持っているように見える

▼以上を織り込んで相手の意図をどのように忖度するか。冒頭の二つの命題は、「いずれとも言い難し」ではないだろうか。ただ、確実に言えることが一つだけある。中国が「海洋覇権」を唱えさえしなければ宮古島周辺は安泰だということだ。(柳)

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