キビの食害広がる/城辺長北
農家悲鳴、イノシシか/市に早急な対策求める
捕獲用おり設置も捕まらず
城辺長北地区で、収穫前のサトウキビが広範囲にわたり動物に食い荒らされている。事態を重く見た地域住民らが28日、被害調査を実施し市に対策を求めた。キビ畑に残された足跡やかじった形跡などからイノシシと見られている。被害を受けた農家は、捕獲用のおりの設置や毒エサをまくなどあらゆる対策をしているが「賢いのか捕まらない」と話している。
3年前から毎年被害を受けているという国仲和男さん(77)=城辺長間=は「自分たちのエサ場と思っているのかも知れない。この畑からは反収6㌧は出るが、今年は5㌧収穫できるかどうか」と肩を落とした。
わなの設置のほか、キビ畑の周辺にロープを張ったり、ラジオをつけ放しにするなど「考えられる手は打っているが捕まらない」という。
長北部落の伊良部正喜会長によると、今年5月に地元の人から「イノシシを見た」との目撃情報があった。10月下旬には3匹の子を連れた親イノシシも目撃されているという。
被害を受けた畑には、動物とみられる足跡が残っており、被害調査に同行した下地明市議は「イノシシに間違いない」と指摘。被害にあった3箇所の畑がいずれも海岸沿いだったことから「海岸づたいに移動しているのではないか。駆除はキビ収穫後になると思うが、市は早急に対策を立ててほしい」と訴えている。
1997年には平良大浦と城辺吉野で、キビやサツマイモなどの農作物が食害に遭った。この時は、猟友会八重山支部のメンバーが来島し、猟銃でオスとメスのイノシシそれぞれ1頭を捕獲したことがある。
イノシシは、本来宮古には生息しないが、他の地区からペットなどとして持ち込まれたのが逃げて野生化したとみられている。