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社会・全般
2010年12月23日(木)9:00

狩俣を芸術文化の拠点に/森万里子氏の2作品

七光湾オブジェ設置へ


実験のため現場に設置された「サンピラー」の実物大模型=22日、狩俣の七光湾

実験のため現場に設置された「サンピラー」の実物大模型=22日、狩俣の七光湾

 世界的に活躍するアーティスト・森万里子氏が、オブジェ作品2点を狩俣地区の七光湾に設置する「森万里子 七光湾プロジェクト」が始動していて、2011年4月に一つ目のオブジェが完成予定となっている。22日には市内ホテルで設置工事に関する第1回評価委員会が開かれたほか、現場に実物大の模型を設置し、夕日との位置関係や見え方などを確認する実験を行った。


 同プロジェクトは、七光湾の自然環境を背景に森氏のパブリックアートを設置することで、狩俣を芸術文化の拠点とするアート活動を展開するとともに地域環境の保全と活性化を目指すもの。総予算は約3億円で、2009年から予算調達のため国内外の各種団体などから寄付を募っている。10年2月には資金調達のためアメリカで税制上優遇措置認定団体を設立、同年11月には宮古島市に「NPOガイア・アート協会も立ち上げた。

 設置する作品は「サンピラー」と呼ばれる日時計の針のように夕日を浴びて影を作る柱とライトを内蔵し光を放つ「ムーンストーン」の2点。現在、森氏は「サンピラー」の制作を行っていて、11年4月中の設置完了を目指している。

 第1回プロジェクト評価委員会には大学教授や設計事務所代表、地元関係者らが委員として参加した。会の冒頭、あいさつに立った森氏は、2006年に宮古島での実施を発案したことやその後の取り組みなどを説明。「六大陸の各大陸でこのプロジェクトを実施したいとの夢を持っていて、宮古はアジアを代表する場として作品を設置しようと考えている。人間の視点ではなく地球の自然という観点から場所選びをしていて、美しい、保全すべき豊かな場所が『ここにありますよ』と旗を立てるつもりで作品を設置し、自然に感謝したい」とプロジェクトの趣旨を語った。

 11年4月中の設置を予定している「サンピラー」はアクリル製で高さ5・2㍍、重さは約5㌧。海中にある岩の上へ設置を計画していて、第1回となる今回の評価委員会では、各担当者が設計の概要や周辺海域の環境保全法、施行方法などを説明。施行方法としては、海上施行案、人力陸上施行案、機械陸上施行案の3案が提示されたが、経費面や機材調達の問題などから、人力陸上施行案を基本に検討していくことなどを確認した。

 同プロジェクトが完成すると、冬至の日の日没時に「サンピラー」の影が湾内に浮かべられた「ムーンストーン」にまで届く設計となっている。冬至だった22日、「サンピラー」設置予定の岩に実寸大の模型が設置され、委員会終了後に現場を訪れた委員らは、太陽との位置関係や影が伸びる方向などを確認した。ただ、この日は波が強かったことなどから、海に映る影を確認することはできなかった。

 森氏は「宮古島には自然を継承するために大切な、豊かな文化がある。私の作品を通じてそれを世界に発信して、宮古のことを多くの人に知ってもらいたい」とプロジェクトに込める思いを語った。


 森万里子氏略歴

森万里子氏

森万里子氏

 1990年代半ばに国際的アートシーンに登場。世界各国の美術館に作品がコレクションされている。2005年に「ヴェネツィア・ビエンナーレ」で展示された「WAVE UFO」という作品はオーストリアやオランダ、デンマーク、ウクライナなどを巡回した。主な受賞歴は、97年の「第47回ヴェネツィア・ビエンナーレ優秀賞」、01年の「第8回日本現代藝術奨励賞」。現在はニューヨーク在住。


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