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視点・焦点
2018年4月28日(土)8:54

【視点・焦点】知事健康不安で情勢流動化も/竹中明洋

 沖縄市長選挙が終わった。自民党や公明党、日本維新の会が支援する現職の桑江朝千夫氏が1万5千票あまりの大差をつけて勝利したことに、革新各党の危機感は強いのではないか。

 自民党は石破茂元幹事長や小泉進次郎筆頭副幹事長らが応援に入り、2月の名護市長選同様の総力戦を展開したが、それ以上に印象的だったのは公明党。支持母体である創価学会の原田稔会長が沖縄入りして発破をかけるなど分厚い支援を展開していたが、もはや完全に自民党と歩調を合わせることに舵を切ったようだ。

 次の関心は県知事選ということになるが、ここにきて心配なのが翁長雄志知事の体調だ。今月5日に体調不良を訴えて入院し検査したところ、膵臓(すいぞう)に腫瘍が見つかった。21日の手術で摘出したが、まだ良性か悪性かの判断はつかないという。

 知事周辺がなかなか情報を出さないこともあり、沖縄県内だけでなく東京でも真偽のほどが定かでない噂が飛び交った。元側近がああ言っていた、いや病院関係者はこう言っていたと噂が出るたびに、我々記者だけでなく県職員などの関係者まで裏取りに走り回った。

 ともあれ、実際の体調のほどとは別に、選挙を控えたこのタイミングで体調が思わしくないとのイメージがこれだけ広がったのは翁長知事にとっては痛手のはずだ。

 政治家にとって健康不安の話が広がるのは絶対に避けなければならないのは、政治のイロハ。次の選挙に出ないかも知れないと思われた途端に求心力を失いかねないからだ。だから、政治家の多くは病気をひた隠しにする。安倍晋三首相でも、2006年からの第一次内閣では潰瘍性胃腸炎を患っていたことを決して明らかにしなかった。

 そう考えると、腫瘍が見つかり、それを手術したことを公表したのは、県民に丁寧な説明をしたという意味では評価できるが、リスクを伴うものだったとも言える。知事選に向けた今後の県内政局が一気に流動化しかねないからだ。

 こうしたなか翁長知事は、25日に政府が辺野古沖での護岸工事に着手して1年にあわせてコメントを発表し、「環境保全措置などで看過できない事態となれば、ちゅうちょすることなく、撤回を必ず行う」とした。

 依然として撤回に踏み切る可能性を示すことで、県内政局での主導権を手放さないという意思を明らかにしたと読み解くことができるのではないか。さらに、健康不安で求心力が低下するのを防ぐ狙いがあったと見るのは、考え過ぎだろうか。

 対抗する自民党側の候補者選考も、本格化している。沖縄市長選で一時休止していたが、官邸は自民党県連幹部に選考作業のスピードアップを指示。翁長知事の体調如何では、11月に予定されている知事選の前倒しもあり得ると読んでいるからだ。

 これまでに十数人が検討対象となっている。県選出の国会議員、現職や元職の首長、さらには経済界からも名前が出ている。すでに誰よりも早く活発に知事選を意識した集会を繰り返している経済人もいるが、来月中旬には支持者らが大規模な大会を開き、出馬を要請するとか。

 永田町では衆議院の解散もあり得るかのような話も聞こえてくるが、国会審議に応じようとしない野党に対する自民党のブラフに過ぎないだろうから、本気で受け止めているのはごくわずか。解散がないとすれば、「今年の最大の選挙は自民党総裁選と沖縄県知事選」と誰もが口を揃える。

 全国の関心が集まるなか、知事選の構図はどうなるのか。いよいよ目が離せなくなってきた。

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