高江洲 周作さん(32歳)/畳製作一級技能士
日本人の住まいに欠かせない畳。夏涼しく冬暖かく何よりイグサの香りがくつろぎの空間を生み出す伝統工芸として親しまれている。とはいえ、西洋文化の進む昨今で畳の需要が少なくなった。業界では、伝統を守りながらも畳のもつ可能性を十分に引き出そうとする動きが盛ん。畳製作2代目の高江洲さんは「オブジェや椅子といった幅広い分野でのフリースタイルも増えている。畳の可能性を最大限に活かしていきたい」と意欲的。
40年前、父親の盛治さんが畳屋を始めたころは需要も多く、規格通りの畳を造っておけば売れる時代だったという。現在は、マンションや団地など規格外の部屋が増え、一つ一つ寸法を図らないと造れない状況。その上、需要が減ったために、あらゆる方法で畳の良さをアピールしなければならない。「優れた温度調整機能があり、高温多湿の沖縄にこそ畳は必要だ」と2代目は強調する。
物心ついたころから、畳職人の父親の背中を見て育ち、中学生のころから配達も手伝った。高校卒業後は、福岡の訓練校で畳の技術を学ぶ。「本当は県外に出たかっただけ」と笑うが、結局気が付くと父親の手仕事の方向に進んでいた。卒業後は1年間、お礼奉公といって無報酬で勤め親方や先輩の技術を学んだ。21歳で2級の技能試験に受かり、それから真剣に畳職人になろうと思った。
「最近では、ワラ床の中に竹炭を入れたマイナスイオン畳や、クッション材、ボードなどを使用して衝撃音を和らげクッション性に優れた畳など、子どもや老人に安全なバリアフリー住宅に最適なものまで開発されるようになった。ワラ床に発砲スチロールを使った畳などは持ち運びも軽く、以前より数段扱いやすくなった。現代のライフスタイルに合わせてあらゆる可能性をためしていきたい」とネットを活用した方法にも挑む。
最近特に力を入れているのが沖縄産イグサのビーグ。「今出回っているイグサの9割が中国産。ビーグは中国産より5倍も強く沖縄本島の中部辺りで栽培され、ビーグで作った寝ござなども増えている。将来、沖縄本島にも進出して県産品の活用も考えていきたい」と目を輝かせる。
高江洲周作(たかえす しゅうさく)1979年7月26日平良に生まれる。翔南高校を卒業後、福岡畳訓練校に入学、3年間学び、後の1年はお礼奉公(見習い)で畳店に勤める。2005年、1級技能士を取得。10年から父親の畳店で働く。妻綾乃さんとの間に1男。