佐久田 理沙さん(33歳)/みやこ島織リーダー
宮古島のブランド化目指す
「宮古上布など優れた伝統工芸がある中で、特産品の開発が遅れているように思う。宮古をPRできるような新たな商品づくりを目指していきたい」と取り組みに真摯。来月9日から3日間、平良のエコハウスで行われる商品の展示会では、宮古島産苧麻と綿や麻、天然繊維などを混紡した糸と、生地では機械織り、手織りなど合計8種類を開発し、その生地を用いた島シャツやジャケットなどが展示される。
地域の産業創出と雇用の拡大を目的に厚生労働省沖縄労働局から地域雇用創造実現事業の委託を受けた宮古島地域雇用創造協議会は、みやこ島織有限責任事業組合に特産品開発分野として宮古島産の苧麻を使用した開発を委託した。
佐久田さんは新しいみやこ織の商品化事業のリーダーとして、下地正子代表と共に苧麻の栽培から糸づくりまで総合利用を目指す。「葉を使ってお茶とおそばに、また繊維となる皮をはぎ取った後の茎は建築資材にと、苧麻は捨てるところがない」と試作品を示す。
伝統の宮古上布は、技術者の高齢化に伴いブー(苧麻糸)の減少も継承に拍車を掛ける時期もあった。2002年に宮古苧麻績み保存会が発足して国選定保存技術として認められたことから、後世に手績みの技を伝承しようと関係者が力を入れた。
糸の確保には何とかめどが立ったものの、時間のかかる細かい作業だけに織り手の経済的問題もある。今回の取り組みは、こうした過渡期にある宮古上布の世界を、全体的に網羅した形での産業化に踏み込もうというもの。
「開発された島シャツは肌触りや軽さ、涼しさが特徴で、デザインのコンセプトは『カジュアルにも着まわせるビジネスシャツ』。私たちはこの3年間、苧麻の総合利用をコンセプトにあらゆる可能性をためしてきた。今後、こうした取り組みを実現していく事業所が他にも出てきて、産業化できたら、現在少ないといわれる宮古の特産品づくりに一石を投じられる画期的な取り組みになると期待している」と話し、まずは3月9日から平良西里のエコハウスで開かれる展示会に足を運んでほしいと呼びかける。
佐久田 理沙(さくだ・りさ)1978年8月28日、平良島尻に生まれる。翔南高校卒。上京してモデルやグラフィックデザイナーとして活躍。30歳でUターン。2009年、みやこ島織有限責任事業組合に。