高校生太平洋・島サミットに寄せて/仲間 伸恵
私見公論 30
飛行機の窓から見おろすと、私たちの宮古島は実に平たい小さな島で、いろんな色の畑をその背にのせて青い海に浮かんでいます。一般的なイメージよりも自然の森林が少ないのが気になりますが、サンゴ礁の美しさは格別です。
私が京都に住んでいた頃、「出身はどちらですか?」と聞かれるのが結構好きでした。「私は沖縄の宮古の、さらに小さな池間島の生まれです」。いつでもちょっと誇らしい気持ちでそう答えたものでした。
もうすぐ、この小さな宮古島に太平洋の島々からたくさんのゲストがやって来ます。本紙面でも何度も関連記事が紹介されている「高校生太平洋・島サミット」の開催が、もう目前に迫っていますね。私個人的には直接関わっている訳でもなんでもないのですが、「高校生、太平洋、島、サミット」という言葉の響きにはちょっとくすぐられるものがあって、なんとなく気になっているのです。高校生くらいの年頃から、海の向こうの広い世界と出会えるチャンスがあるなんて、なんてうらやましいことでしょう。宮古島市では初の国際会議だそうです。宮古の子供たちが、それぞれに豊かな文化を持った太平洋諸国の友人たちと、互いに尊敬し合える交流を持てるといいなあと思います。きっと、世界の中の自分(沖縄、あるいは宮古)を感じて考える、良い機会になるでしょう。
私自身が宮高生だった頃を思い出すと、当時「外国」というのは本かテレビの中のことであり、自分との関係はとても希薄で、実際にそこへ行くことなどほとんど想像もできていなかったと思います。沖縄を出て「本土」へ行くことさえ大事件だったような…。そんな私も進学を機に島を出て沖縄本島で暮らし、そのうちに「自分自身を知るためにも外から沖縄を見てみたい」などと小難しいことを考えて、結構長い本土暮らしを経験しました。
「外国」へ行くことなど想像もできない高校生だった私ですが、あれからずいぶんと年を重ね、いろいろな国々へ旅をしました。中国、インド、インドネシア、イスラエル、ギリシャ、その他南ヨーロッパの国々など。世界は興味深いことに満ちていて、まだまだ、行ってみたい所はたくさんあります。今回の太平洋・島サミットに参加する島々にも、もちろん興味津々です。ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの三つの地域に区分される太平洋の島嶼国。キリバス共和国、ナウル共和国、クック諸島、ツバル、等々、なかなか行く機会のない島々の名前にワクワクします。「島」であるが故にきっと、それぞれの歴史を反映した豊かな文化を残していることでしょう。私たちの文化と比較して違いに驚いたり、似たところを見つけたり。今現在抱えている課題には環境問題や経済問題など、共通していることが多いはずですから、きっと学び合えることも多いと思います。
世界中にはさまざまなところがあって、素晴らしく感動的な人々の暮らしがたくさんあることを実感できるようになりました。その上で、いろんな人に会ったとき、誇らしい気持ちで「私は宮古の生まれです」と言えることがとてもうれしいのです。「私のふるさとは良い所ですよ。ぜひ、遊びに来てください!」とたくさんの人に言いたいと思います。
それから、高校生の皆さんに(中学生も、小学生もですが)、英語できたらいいよね。実は私は英語コンプレックスです。しっかり勉強しとけばよかったと、ほんと思います。例えば、今回の高校生太平洋・島サミットで海外からたくさんのゲストがいらっしゃると思いますが、英語が話せたら素敵な出会いがさらに素敵になるかもしれませんね。
ひろい世界で、でっかい夢を描いてください。