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2012年5月27日(日)9:00

波平 三郎さん(60歳)/民生・児童委員(平良第二地区)

幼いころの恩返しに



波平三郎さん

波平三郎さん

 地域のつながりの希薄化、急速な少子高齢の進行、社会経済・雇用情勢の厳しい変化などにより貧困、格差、弧立などといった社会情勢がある。こうした状況を把握し、地域住民の立場から福祉行政との橋渡しを担う民生・児童委員。今月は「民生委員・児童委員」月間。市民の生活、子育て、高齢者への声掛けなど、全般にわたり安心して住み続けることのできる地域社会づくりに努める。



 池間島の波平さんは、多くの高齢者を抱える中で1軒1軒訪ね歩き、声掛けをしながら関係をつないでいる。「約700人の人口のうち、半数近くが65歳以上の高齢者、その中には独り暮らしも多く、見回りで常に状況を把握しておかねばならない。幸いにLPガスの配達をフリータイムで行っていることもあって、見回りには都合が良い」と話す。


 長年暮らしていた那覇から5年前島に引き上げてきた。「久しぶりに帰った島はあまりにも寂しくて元気がなかった。私たちが幼いころは、カツオ漁で活気があり、子どもたちもたくさんいた。今はお年寄りばかり。何とか島のためにやれることはないか考えていた矢先、行政連絡員と民生委員児童委員の話があり、二つ返事で引き受けた。特に民生委員はまったくのボランティアだが、私はやる価値を感じている」


 波平さんは10人兄弟の3番目。あまり働かなかった父親に代わって母親が苦労した。「橋がかからない前は、平良で部屋を借りている兄二人が帰ってくるために母親は息子たちに持たせる物資やお金を借りようと島中の親戚縁者を訪ね歩いた。3男坊の私を連れて。私にはその時、世話になったお年寄りたちが大勢いる。今このボランティアをやっているのは、その時の恩返しだと思っている」


 島には、現在50代から60代のUターンが増えた。「島外から親を頼りに帰って来るケースが多い。体が健康なうちはどんな仕事でもやって自立してほしいが、なかなかそうもいかない。正直5年後、10年後、手のかかる人たちが増えそうで心配している」と、島の将来を危惧する面も。


 現在400余の世帯数が登録されているが、実際住んでいるのは350軒ほどだという。最近は空き家をリフォームして、民泊事業に参加する人たちも増えてきた。「島に元気を取り戻すために、みんなが安心して暮らせる環境をつくっていきたい」と話す。


 波平 三郎(なみひら・さぶろう)1951年11月12日生まれ。旧宮古水産高校を卒業して広島県の船舶会社へ入社。後に大阪へ渡り、沖縄本島で印刷会社を経営。2007年島に帰島。10年12月から市行政連絡員、11年1月から民生委員児童委員に。伊保子さんとの間に2男、孫4人。

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