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美ぎ島net
2012年11月17日(土)22:55

シリーズ 島のくらしと環境<19>

昔の知恵に習う生活を/来間島の国仲富美男さん


アダンの気根で綯(な)ったアダナスを紐代わりに使うと話す

アダンの気根で綯(な)ったアダナスを紐代わりに使うと話す

 今年3月に学校現場を定年退職した国仲富美男さん。来間島で悠々自適の生活を送る。「退職したら毎日が日曜日だと聞いていたが、とんでもない、毎日が月曜日だ」と笑う。住宅の前方に広がる畑は開墾中で、これから雑穀を中心にゲットウやクロツグ、アオガンピ、野草など活用できる植物を栽培するのだという。


 妻と二人暮らしの生活は、朝、庭先で摘んだヨモギのお茶で1日が始まる。「ヨモギは血液を浄化し、何より香りがいい」と話す。庭の片隅には貝殻のうず。「ヤドカリも住宅難で、こうして貝殻を置いてあると、適当なサイズを選んで入って行っちゃう」と話し、居酒屋に出掛けるときは、サザエなどの殻をもらってくるのは普通となった。

 与那国島に勤務のころは、アオガンピで紙漉きを子どもたちに教えたことや、竹などで空気鉄砲を作り、玉はサルカケミカンの実を使ったことなど、懐かしい昔話が次々と披露される。「最近は何でも買った物を与える。昔は自分でできる物はほとんど作った。縄だってそう。アダンの気根を乾燥させ作ったアダナスが丈夫だし、捨てても土に戻ってくれる」と話し、実際に編んでみせる。

 「先日、砂浜を歩いていたら、ヘリコプターでばらまいている野ねずみ退治の薬が散らばっていた。どうしてここまでと思い、ヤドカリなど小さな生き物が食べてしまったらと気になった。農家のためには必要だろうが、関係のない生き物が食べてしまう可能性も高いわけで、食物連鎖の懸念がある」と、深刻な表情。

 橋で釣りをする人が平気で欄干の壁を抜いてしまうとかゴミを置いていくという現実が日常にあると指摘する。「宮古島市はエコアイランドと銘打っているわりに、方々ごみだらけだ。市民のモラルがなかなか向上しない。住みよい島にするには、まず市民のモラルの向上しかない。行政や議員の皆さんにもその方策を考えてほしい。生き方をもっとシンプルにして、昔の知恵を取り入れていくことも大事」と話し、自然に優しい島づくりに強い関心を示す。

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