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人生雑感
2012年5月30日(水)22:17

人生の青春期における苦難・痛みはその人の品格を養成する

日本親業協会親業インストラクター 福里 盛雄


1 希望を抱いて島を離れていく若者たちの前途には、困難と苦痛が待ち構えている

 その初期の段階で挫折していく人は、人生という荒海に対して自分の力を過剰評価していたものである。ある古人は自分の人生観から、人生は重き荷を背負って遠い坂道を行くようなものだ、と言いました。よく考えてみれば、私たちを取り巻く人間関係一つをとってみても、その複雑さと理解しがたい不条理に基づく困難と苦痛に、人々は失望の涙を流しているのが現実です。自分の思う通りに物事がならないのが社会というものである。


 その人の望み通りに容易に物事を成し遂げると、達成感・自己実現の喜びに感動することはないでしょう。自分の思い通りに物事が運んでいくと、命がけで物事を成し遂げる熱情も湧いてこないでしょう。多くの仕事を成し遂げたとしても、人間としての品性が養成されていないからです。人の品格は、人の生きていく力であり、それは、人生において起きる苦難苦痛に耐えていく心の忍耐力によってつくり出されるのであり、そのことは、その人と不可分関係にあり、他人に譲り渡すことはできないその人自身の特質であります。人はそれぞれの経験する困難と苦痛によって、それぞれの品性を身につけていきます。

2 就職して早い段階で辞めていく若者たちが多いのはなぜか

 就職した若者たちの3分の1の者が辞めていくというある調査結果によると、辞める理由として挙げているのは、その仕事が自分には適していないとか、仕事がきつくてたまらないとか、職場の人間関係になじめないとか、待遇が期待通りではないとか、というその人の望んでいることと条件が異なるということが主たるものである。この社会では、その人の欲求を100%充足させる条件を完備した仕事場を見つけることは困難である。

 そんな自分に都合のよいことばかり期待していたら、一生定職に就けず、仕事を続ける情熱を失い簡単に辞めていくことになる。そのような者は、転々と仕事を変えていくので、いつまでも新社員の状態であり、責任ある役職に就くことはできないのです。新人を採用することは、その職場の将来の人材を育成していくことが目的でもある。その期待に反して簡単に辞められると、職場の採用目的は無視されることになる。また、本人も自分の能力を発揮する機会になかなか恵まれずに一生を終わることになる。このことは、本人にとっては悲しいことであり、社会にとっても大きな損失であります。

 就職していく若者にとって、社会は都合よくできているのではないのです。社会は不条理といえるほど不都合なことが次々と起きてきます。ですから、その不都合な出来事に対して、その不都合なことから逃げるのではなく、その不都合なことの中で、何かプラスになることを見つける努力をする、思考型の品格のある人間に成長しなければならないのです。

 物事を成し遂げるためには、生きていく力が必要です。人の本当の生きる力は、その人にとって困難な状態の中で養成されるのです。その困難を避けてはいつまでも生きる力は身につきません。鉄の強さは高熱の火中を通らなければ、その強さは養成されないのです。蝶もさなぎから脱皮する苦しみを避けると、生きていくための飛ぶ力をつけることもできずに、ついに死んでしまいます。

 希望を抱いて故郷を出ていく若者たちよ。その希望を達成して帰郷するためには、数々の困難が待ち構えていると覚悟しなければならないのです。それは自分を人間として成長させるための栄養剤として受け止めて、目標に向かって前進することが必要です。その覚悟を持って、あせらず、くさらず、こつこつと努力を続けて進んでいけば、必ずや希望は達成できます。同時に人間としての品格も出来上がるものと考えます。

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