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私見公論
2013年6月21日(金)22:58

エコアイランド宮古島の取り組みについて(5)/大金 修一

私見公論 74

 

 近年、資源制約や環境問題への関心の高まりを背景に、電気自動車が注目を集めている。電気自動車はエネルギー消費効率の高い自動車であり、政府も電気自動車を含む次世代自動車については「低炭素社会づくり行動計画(平成20年7月閣議決定)」や「エネルギー基本計画(平成22年6月閣議決定)」において導入目標を定めて、補助金や税制等によりその普及の促進を図っている。


 環境モデル都市である宮古においても、電気自動車については、島の低炭素化に向けたアクションプランである「島嶼型低炭素社会システム構築委員会報告書」や「地域新エネルギー・省エネルギービジョン」においてその普及を位置づけており、導入促進に向けて役所や観光施設、集客施設等への充電器の整備を通じたインフラ環境の整備を行うとともに、移動図書館やスポーツイベント等での活用、民間団体へのカーシェアリング事業等を通じた普及啓発を進めている。

 少し前の統計となるが、平成23年度における全国の自動車保有台数に占める電気自動車の割合は0・04%程度である。最近は宮古でも街中で電気自動車を見かけるようになり、現在60台以上の電気自動車が普及している。これは宮古の自動車保有台数の約0・15%程度と見込まれ、その後全国でも普及は進んでいるが、全国平均に比しても非常に高い普及率であるといえる。

 電気自動車の車種は普通車タイプからワゴンタイプ、軽トラックまで幅広く、宮古においては、燃料費コストの削減や環境意識の高さから主に事業用車両としての導入が進んでいるが、価格については、政府の補助金等を活用しても、現状では従来の自動車に比してまだまだ高額であると言わざるをえない。

 一方で、電気自動車は従来の自動車にはない付加価値がある。例えば、電気自動車は蓄電池を搭載しているため、一定の機器等が必要となるものの、蓄電池としての活用が可能であり、公共施設の充電インフラと連携することにより、災害時の活用も可能となる。また、車から家への給電システム等についての研究開発等も進められており、今後実用化されれば、家庭における停電時の活用も可能となる。

 さらには、現在、国土交通省が「超小型モビリティ」として、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両の公道走行を可能とする認定制度を創設しており、宮古においては、他地域に先駆けてその社会実証を行うことが予定されている。今後そういった車両が普及されることにより、電気自動車はより安価で身近な乗り物となるであろう。また、今後電気自動車が普及していく中において、係る人材育成を進めて行くことも極めて重要である。

 宮古では、昨年より沖縄県の「沖縄スマートエネルギーアイランド基盤構築事業」の一環として「小型電気自動車製作実証事業」と題して、島内外のさまざまな関係者が連携して小型電気自動車の製作を行う実証事業に着手している。昨年度より改正沖縄振興法の運用が開始され、県内全域において製造業振興の素地が形成されたところ、今後はこのような事業を通じた人材育成やノウハウの蓄積、産業の振興を図ることも重要となる。また、現在はこのような事業の実施に際しては島外に協力を頼らざるをえないが、今後は島内のプレーヤーが担い手となり得る主体的な体制の構築も必要であろう。さらには、教育機関においてもさまざまな取り組みが展開されているところ、今後の連携した取り組みも期待される。

 宮古において、電気自動車は今後も普及が進むと見込まれるが、島の人々の意識の高さはさることながら、個々における導入のみならず、上記のようなさまざまな取り組みを通じて、「エコアイランド宮古島」の旗の下、島の活性化に資する大きな枠組みの中でこのような取り組みが進められていくべきである。

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