【私見公論】方言問題を考える③/佐渡山力
地域に即した対策により普及活動を推進しよう
前回述べた通りすぐにでも手を付けることは若い親御さんや小中校生への指導である。若い親御さんへは校区単位のPTAごとに講座を設けること、並行して一般の方を対象にした講座を持つことも考えられる。保育園・幼稚園を含む小中校へは年間計画に組み入れてもらうことを事前に要請し、これらの園や学校の計画に応えていくことが望ましかろう。
次に、推進委員の選任・委嘱することも急がれる。この後、推進委員の役割等に係るとりまとめをする準備委員会を早急に立ち上げ、充実した指導体制を構築し普及活動を軌道に乗せるようにしたいものだ。
また、前回、方言語彙を増やすことを勧めたが、そのために例えば、週に3~5の語彙を設定し「今週の方言」として指導していけば40週で100~200の語彙が習得できる勘定になる。また、推進委員会から提供される行事やその月のトピックを方言交じりの短いフレーズの文章を通して方言語彙に親しませることも一方法である。例えるならば、5月のハーリーや6月の慰霊の日に関する短いフレーズの文章を読み取ることで語彙の習得につながるのではないか(例文省略)。
次に組織について触れてみたい。①総務部②普及部③研修部とし、総務部は活動計画と資料作成、広報、渉外等に関する事項を、②は保・幼・小中校やPTA・一般対象の指導、③は推進委員会の勉強会、以上大まかな各部担当について触れてきたが、具体的活動事項を列記し、皆様の話し合いに役立ててもらえれば幸甚に思います。
(1)推進委員宅を方言家(やー)と呼び習ったり相談に応じたりする。
(2)音楽の活用としてわらべ歌や民謡を取り入れ、方言に親しませ関心を持たせる。
(3)方言紙芝居や方言かるたを作る(すでに実践園あり)。
(4)方言の寸劇により方言の習得に役立てる。なお、PTA祭りで方言劇を演じてもらうことを勧める。
(5)小中校に方言クラブを設ける。
(6)小中校生に夏休み等の宿題として課す。
(7)方言に関するクイズやことば当てを試みる。
(8)よく知られている詩歌の方言訳(金子みすゞ、宮沢賢治、ほか)
(9)年に何日か「方言の日」を設定し方言対話に心がける。
(10)方言大会や中学生のパフォーマンスに関心を寄せ協力していく。
(11)方言堪能者のことばを収集し、CDにし保存に努める。
(12)将来は、方言テスト、検定も考えるようにしたらどうだろうか。
(13)各地域ごとに推進委員を核に座談会、討論会を催す。
以上の提案を文化協会方言部会主導により積極的に協議してもらうことを切望する。
また、学校やPTA対象にした活動は、文化協会やその他のボランティアに委ねることが、現状では無難であり、自信と誇りを持って継承、普及活動に専念していきたいものである。幸いにも文化協会に方言部会も立ち上げられたようで大変喜ばしい限りであります。私ども広める会としても人材の確保や予算の面から今後の活動面で危惧し発足当初から大きな組織に入った方がよいとの考えでいたところ今回方言部会に合流することができうれしく思います。
最後に、普及活動の一環として行われる中学生によるパフォーマンス大会だが、毎年参加し見学している。25年度の圧巻は北中生による狂言「附子(ぶす)」の方言バージョンであった。音楽(地謡)、太鼓、舞台装置、方言セリフは堂に入ったもので、楽しく感動に浸りながら鑑賞した。あたかも平成16年2月、マティダ市民劇場におけるザ・ベスト・オブ能2003と銘打った社団法人日本能楽会と能楽協会のベストメンバーによって演じられた公演を彷彿させる思いがした。各方面からの声が掛かり中公館、宮古TV、先日の中文連舞台発表と年に3回の披露となった。この中学生によるパフォーマンス大会は各学校とも関心が高まり、個人・グループ・団体で現代の社会問題をテーマに方言で演じるもので今後さらなる活躍に期待したい。
大人による宮古方言大会も、年々内容、質も向上し頼もしい限りである。出場者も錚々たる顔ぶれで爆笑をさそう手法もセーブされ、歴史、伝統文化、自己の感想や社会問題にも目を向けしっとりした話術に心をくだいた弁舌に格段の進歩が感じられた。今後ますますのご発展を祈る次第である。