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私見公論
2016年8月26日(金)9:01

【私見公論】宮古諸島の固有種を守ろう!/仲地 邦博.

 読者の皆さんにミヤコショウビン、ミヤココキクガシラコウモリをご存知の方はいるでしょうか? いたとしても、おそらく少数でしょう。

 ミヤコショウビン(宮古翡翠、宮古島固有種)はカワセミ科の鳥で、1887年に初めて宮古島で一羽採集され、1919年に新種として記載された。しかし、それ以降一度も発見されていなく、生態や習性は全く不明のままである。

 ミヤココキクガシラコウモリ(宮古小菊頭蝙蝠、宮古島と伊良部島の固有亜種)は、洞穴に住む小型の蝙蝠で、カートゥイと呼ばれていた。このコウモリも1971年7月に確認されたのを最後に記録が無く、2012年の環境省第4次レッドリストで絶滅と評価された。

 「絶滅とは、一つの生物種の全ての個体が死ぬことによって、その種が絶えること」、つまりミヤコショウビンもミヤココキクガシラコウモリも地球上から消えてしまい、二度と見えなくなってしまったということである。生息環境の悪化が、絶滅の原因と強く疑われている。

 生息環境の悪化は、宮古の住民の無知と無関心が許してしまったと思われる。これは行政機関や教育機関(小学校、中学校。高等学校)やわれわれのような自然保護団体が力不足で知識不足はもちろんのこと、せっかく得た知識や情報を住民の皆さんに届けられなかったからと深く反省するところである。

 この機会に宮古諸島の固有種・亜種を紹介し、それらを知ってもらうことで個々の生物の保護ひいては生物多様性が守られるようになればと思う。

 これまで宮古諸島は何回かの沈降、隆起があり、地史が新しく生物学的には研究者の注目をひかない島とされてきた。しかし、近年、淡水産で宮古島固有種のミヤコサワガニ、県内でも分布が限られている絶滅危惧種の淡水産藻類シマチスジノリが発見され、宮古諸島の生物学的な価値が見直され再評価されてきている。

 これまで「宮古島は完全に水没しすべての生き物が死滅した」という従来の考え方に大きな疑問が生じ、「宮古島の一部は水没せずに淡水産のミヤコサワガニをはじめとする貴重な生物種を育んできた」のではないかということである。

 それでは陸棲のセキツイ動物の固有種・亜種だけを紹介する。その他の動物と植物は、その分野に詳しい方にお願いしたい。

 哺乳類には固有種・亜種、希少種ともにいない。

 鳥類は移動力が大きいので固有種・亜種はいないが、絶滅危惧類ⅠAはヘラシギやシマアオジなど6種、絶滅危惧ⅠB類はキンバトやサンカノゴイなど14種、絶滅危惧Ⅱ類はサシバ、ベニアジサシなど28種、準絶滅危惧はミサゴやカラスバトなど15種と多くの希少種が記録されている。

 陸棲爬虫類には、宮古諸島固有種にミヤコカナヘビ(絶滅危惧ⅠA類)、ミヤコヒメヘビ(絶滅危惧ⅠB類)、ミヤコヒバァ(絶滅危惧ⅠB類)の3種、宮古諸島と八重山諸島の固有種にはキシノウエトカゲ(絶滅危惧Ⅱ類)1種である。また宮古諸島と八重山諸島の固有亜種にサキシマキノボリトカゲ(準絶滅危惧)、サキシマスベトカゲの2種がいる。

 爬両生類では固有亜種のミヤコヒキガエル(準絶滅危惧)、宮古と八重山諸島の固有亜種にサキシマヌマガエル(宮古、八重山諸島の固有種)がいる。

 以上の紹介で宮古諸島には陸棲セキツイ動物だけでも多くの固有種・亜種が生息しているが、絶滅の危機に瀕していることも分かっていただけたと思います。宮古諸島は捨てたものではないのです。むしろ貴重で希少な生物が生息していることを誇るべきです。しかし宮古諸島の島々の面積は小さく、収容できる生物は少ない。また油断すると個々の生物に適した環境がすぐに破壊されてしまい、その種の絶滅につながります。

 宮古諸島の固有種・亜種を知り、守りましょう! ある生物種が生息できなくなる環境は、人間にも良いはずはありません。人間が末永く生きていくには、これ以上自然環境を壊すことは止めるべきです

【固有種】特定の限られた地域にのみ生息する生物種。
【亜種】「種」の下にランクされる区分で、「種」とするほどには違わないが、いずれかの形質に差が見られる場合に当てはめられます。
【絶滅危惧ⅠA類】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
【絶滅危惧ⅠB類】ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
【絶滅危惧Ⅱ類】絶滅の危険が増大しているもの
【準絶滅危惧】現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
(宮古野鳥の会会長)

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