市、新年度予算で調査費/宮古島漁協
事業継続の可否探る/高野のクルマエビ養殖
養殖していた140万匹がPAVウイルスによって全滅した宮古島漁協のクルマエビ養殖事業について、市は新年度予算で調査費を計上する方向だ。平良高野の養殖池で亀裂が見られる壁面の漏水調査を実施する。漁協は理事会で事業継続を目指す方向を確認しており、市の支援を仰ぎながら、継続の可否を探る。市は「まず漁協、県、市が連携して問題点を洗い出すことが重要」としている。調査結果を踏まえた上で、利用できる国の補助メニューを選択していく。
市は2018年に養殖施設の概況を調査。破損や劣化による亀裂などを調べ、施設の保全計画書をまとめている。同調査では、施設壁面に十数カ所の破損が確認された。市は新年度で改修工事に向け、漏水箇所を改めて調査する。
PAVウイルス感染は同池で2016年に初めて確認され、その後は毎年確認されていた。県水産海洋技術センターに依頼し、調査を続けているが、原因は特定できていない。協議などでは▽亀裂部分からの海水流出入▽池底から湧水▽陸側からの雑排水流入|を感染の原因と指摘する意見もあるという。
これまでは確認時期が11月下旬で、感染した個体を取り除いて出荷してきた。今期は生育途中の10月に確認され、広がったことから、1993年の養殖開始以来、初めて出荷ゼロになった。
養殖場では例年、出荷が終わる3月を待って、池の水を抜き、下砂をかき混ぜて天日で干し、塩素材などで除菌する。初確認以降も対策を徹底してきたが、今期、早い時期に感染が広がった原因は特定できていないという。
ウイルス感染以前は出荷量が20㌧超で売上げも1億円を超えていた。確認以降は出荷量が減り養殖事業は赤字が続き、前期は13㌧、約6000万円にとどまった。今期は出荷がなく、約1億円の損害になる。
同漁協の栗山弘嗣組合長は「クルマエビ養殖は収益事業の柱の一つ。少しでも早く再開できれば」と話し、早期の事業再開を模索する考えだ。