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社会・全般
2017年6月24日(土)9:02

「平和の礎」に哀悼の祈り/糸満市摩文仁

池間前里出身の佐渡山さん


戦死した兄に祈りを捧げるため「平和の礎」を訪れた佐渡山勝子さん(右端)(池間前里出身)=23日、糸満市の平和祈念公園

戦死した兄に祈りを捧げるため「平和の礎」を訪れた佐渡山勝子さん(右端)(池間前里出身)=23日、糸満市の平和祈念公園

 【那覇支社】戦後72年目の「慰霊の日」を迎えた糸満市摩文仁の平和祈念公園「平和の礎」では、多数の郷友らも戦没者に哀悼の祈りを捧げた。池間前里出身で豊見城市渡嘉敷に住む佐渡山勝子さん(83)は、姪の2人と数年ぶりに亡き長兄の新崎玄勇さんに会いに来ていた。

 佐渡山さんの兄は、終戦の2年前に南洋諸島で亡くなったという。戦死を知った母親は「自分はいつ死んでも命は惜しくない」と嘆いていた。父親が数年にわたる南方漁業への出稼ぎのため、長兄が家族の大黒柱だった。「きょうだい思いで絶対怒らない、親孝行の兄だった」という。魚の行商で家族の暮らしを守る母親を助けるため、夏場はカツオ船に乗り生活を支えた。

 入隊して見違えるようになった従兄弟に憧れ、兄は19歳で兵役に志願する。本土の部隊に入隊中には、勉強好きな兄らしく学校の教材や学用品を送ってくれたことを思い出す。

 男勝りの働き者だった母親は、家族の生活が苦しい中でも腹を空かせた兵隊たちを不憫に思い、毎日ご飯を炊いて池間島の駐屯部隊に届けていた。「頭に鍋を載せて行くので、髪の毛が5㌢ぐらいはげていた」と苦笑いする。

 佐渡山さんは「2度と戦争はやってはいけない。兄の死や母の苦労があってこそ、きょうだいやその家族が平穏に暮らせて来れた。自分なりに平和の大切さを子や孫に伝えていきたい」と力を込めた。


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