発達障害 理解進む/宮古島市
16年度検査申請は167件
宮古島市で発達障害に対する理解が進んでいる。学習障害や注意欠陥などの有無を調べる検査の申請がここ数年右肩上がりで推移しており、2016年度は167件の申請があった。発達障害に対する偏見の解消と、児童生徒の親の理解が背景にある。市教委は年度一般会計補正予算案に検査業務を担う臨床心理士の報酬を計上。市議会9月定例会に提案している。
発達障害は、自閉症や学習障害、注意欠陥、多動性障害などを指す。すべての発達障害者の社会参加の機会を確保するための発達障害者支援法が2005年に成立。各自治体では、この法律に基づいて各種施策を展開している。
宮古島市でも学校と親の承諾を得て発達障害に関する検査が行われており、その程度によって学校に支援員を配置したり、支援学級で対応したりしている。
この検査の申請件数がここ数年伸びている。15年度は129件、16年度は167件、17年度は8月1日現在で105件に達していることが15日の市議会文教社会委員会で分かった。「件数はさらに伸びる」(仲宗根均教育部長)という。
増加の要因について市教委は「早めの対応と早めの支援でしっかり学習ができるんだという理解が進んでいる。早く支援につなげようという機運がある」とみており、この傾向は拡大していくと分析している。
ただ、申請の増加で検査業務を担う人材が不足しているという。市教委は、これらの現状を踏まえて検査業務を担う臨床心理士報酬240万円を計上。15日の文教社会委員会で、仲宗根部長は「以前から人が足りないことが課題だった」と提案理由を説明した。
担当業務は、知能発育検査のほか、▽学校や親からの相談を受ける▽専門的な指導支援▽関係機関との情報交換-を挙げた。
申請件数急伸の要因を問われた市教委は「親の理解が進んでいることが増えている要因だと考える」と答えた。さらに「(検査を受けて発達障害の程度が分かれば)年齢に応じて、それに合った個別指導を行うことができる」と支援制度の利点を強調し、臨床心理士確保に理解を求めた。