議会を傍聴に出掛けよう/2013年回顧
市民の身近な存在に/開かれた議会へ改革必要
今年は首長や議員を選びだす選挙が集中した。宮古島市においては市長選(1月)と議員選(10月)、多良間村では村長選(6月)と村議選(5月)がそれぞれ執行された。選良には今後4年間、市・村民の負託に応える活動と活躍に期待がかかる。議会は住民の代表として、市・村政が正しく運営されているのかをチェックするのが役割だが、住民が身近に感じるような開かれた議会への改革も必要だ。
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そのためにはまず、市民が議場に足を運ぼう。年4回開かれる定例会は、市民生活にかかわる予算や条例などが審議、決定されている。
議会を傍聴し、市民本位の立場から適切な政策決定や執行が行われているのか、市当局と議員のやり取りを見守るのは大事だ。
ただ現状はそう簡単にはいかない。開会中の議会は平日の昼間に行われるのが通例で、仕事を持つ人にはまず無理だ。
サラリーマンや主婦が参加しやすい開かれた議会を目指すには、思い切った議会改革が必要になってくる。
例えば、昼間行われている議会の一部を、夜間や日曜日に開くことも一つの改革だろう。全国には実際に行われている所もあるのだ。
市議会の真栄城徳彦議長は「市民に生で議会を見てもらいたい。議会というのがどういう中身を審議しているのか、ぜひ傍聴し議員一人一人を見てもらいたい」と開かれた議会を強調する。
市民が議会を傍聴することで、議員は刺激を受けやりがいも出てくるはずだ。
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議員定数削減は避けては通れない重要課題だ。
現在の26人から削減を望む市民の声は多く、議員自らが身を削るという努力も必要だろう。
ただ、類似自治体との比較や財政コストの削減だけで定数問題を議論すると、議会の活性化を削いだり本来の役割機能を発揮できない恐れもある。
宮古島市にとって議員の適正数は何人か。市議会議員の活動規範などを定める、議会基本条例の制定も含め、市民を交えた論議の高まりが必要だろう。
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市長選では下地敏彦市長が無投票で再選を果たした。合併してから3度目の選挙で初めてのことだ。
有権者にとっては4年に1度、市の将来を託す人を投票で決める機会を失ったといえる。対抗馬が立てられなかった野党の責任は重い。
市議選で野党は改選前の6議席から3議席を減らし、下地市政を支える与党の圧倒的過半数を許してしまった。
野党勢力が弱体化したことで、懸念されるのは議会の論戦の低下だ。
市当局から提案された議案が、与党の数の力ですべて可決、成立するというだけでは市民の理解は得られないだろう。
議会と行政は車の両輪とよく言われるが、同じ車に乗って同じ方向へ進むという捉え方ではなく、車の両輪のごとく一丸となって課題解決に取り組むという姿勢で臨んでほしい。
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多良間村では現職と新人が一騎打ちの村長選が行われ、新人の伊良皆光夫氏が初当選を果たした。
先に行われた村議選では、前村長を支持する議員が過半数を占めたことから、少数与党となった。
二つの選挙とも島を二分した選挙で、しばらくはしこりも残ったが、村制施行百周年記念式典・祝賀会が島民の気持ちを再び一つにした。
同村は宮古島市との合併を選ばず、村民一丸となって自立の道を選択した経緯がある。
離島が持つ課題は山積しているが、百周年を機に先人たちの偉業を振り返りながら、未来への道筋を切り開こうとしている。
記念式典で児童代表は「次の百年に向け惜しみない努力と無限の可能性を発揮し、大きく羽ばたくことを誓う」と未来宣言した。
次の百年へ、島はすでに動き始めている。